2021年02月10日 水曜日 足の…
【足の踪(あと)はつかぬが筆(ふで)の蹟(あと)はのこる】
筆をとるにも熟考したのちにかくべきであるということ。
昔、日本の村落には、どこにでも入会地(いりあいち)というのがありました。それは、まきやしばなどを水のみ百姓も好き勝手にとることができる土地のことです。明治御一新のころ、ある村の百姓は、庄屋さんの家に集められ、
「これに印を押してほしい。」と難しい証文を出した。もちろん文盲の百姓たちは、その証文の内容がわかりません。
「どうせ、悪いようにはならんべぇ。」と一筆をそえ、判を押したのです。
ところが、そこには、
「狸(たぬき)が原 西北(せいほく)の地 一丁は、代々庄屋久兵衛殿の所領であったことを認めます。」
と書かれていたのです。こうして、明治期に入会地(いりあいち)の多くは庄屋のものとなり、今では足を踏み入れていた土地でも、枝一本持ち出せば盗材となってしまったのです。当時の裁判官は、筆(ふで)の蹟(あと)をもって冷酷に判決を下したのです。
何かするときは、よく考えて!
これは、今の世も同じですね。