2021年02月10日 水曜日 朝に夕を…
【朝(あした)に夕を謀(はか)らず】
事態が差し迫って、朝にその夕方の計画を立てるほど余裕のないこと。
中国上古時代に、州の景王が使者を使わし、秦の重臣(じゅうしん)趙孟(ちょうもう)を顚水(えすい)のあたりで厚くもてなした。その時、使者は顚水(えすい)の川の流れを見て、治水に大功のあった禹王(うおう)の功績をしのび、趙孟(ちょうもう)に向かい、
「あなたも禹王(うおう)にならい、このような善政を行われてはどうですか。」と勧め励ましたところ、彼はこれに対して、
「私は何とかして罪に陥らないようにと、そればかり心から念じています。だから、とても、遠い将来のことなど考えている暇はないのです。やっとで禄(ろく)を食(は)み、ようやくその日その日を送っているので、朝に夕を謀(はか)れないくらいです。」と答えたという故事なのです。