WHO テドロス氏は、
この数日間で、感染者数100万人に達し、死者は5万人になるだろうと会見で発表した。
絶望的な数字…
サンパウロ発 2020年03月30日に大久保敦が書かれた。この記事は、前回の私の書いたブログにリンクが掲載されている。
とても分かりやす、書かれているので、一読される価値がある。
以下のその骨子を記す。
インペリアル・カレッジ・ロンドンとは、医学に特化した世界有数の理工系名門大学。
そこで、2020年3月26日に調査発表をまとめた。
その報告書の内容を見てみると…
ブラジル全人口の75%を自宅隔離する厳格な新型コロナウイルス感染防止強制措置を行う場合、
最大で入院者は25万人
死亡者は4万4,000人
にそれぞれ抑制できると予想。ブラジル大統領Bolsonaroの暴言、暴挙もいとまがないが、2020年3月28日現時点で27州中24州が厳格な強制措置を講じている。
高齢者のみを対象に感染防止強制措置を行う場合
感染者数:1,200万人
入院者数:320万人
重症者数:70万2,000人
死亡者数は53万人
イベントの禁止や人の接触・往来制限など柔軟な感染防止強制措置を行う場合
感染者数:122万人
入院者数:350万人
重症者数:83万1,000人
死亡者数:62万7,000人
強制的な感染防止措置を全く行わない場合
感染者数:1億8,800万人(総人口の88%に相当)
入院者数:620万人
重症者数:150万人
死亡者数:115万人
と予想結果をサイトで公表している。
ブラジルでは各州政府・市当局がロックダウン(都市封鎖)の実施に踏み切っている。これに対してボルソナーロ大統領は、経済の混乱を防ぐとの理由で各州政府の厳格な強制措置を批判したが、そのすぐあとに国民に対し、慎重にCovid-19と立ち向かうために一致団結しなければならないと呼びかけている。
2020年3月27日付「ゼロ・オーラ」紙は、国内全土で呼吸器を備えたICU(集中治療)ベッド数は4万6,000台しかなく、厳格な感染防止強制措置を行わなければ医療崩壊が起きると報道している。実際問題、SUSの機能はほぼ、パンク状態でこのパンデミックが起きているため、もう、機能を果たすどころではないのである。
その一方で、ブラジルでは経済悪化により治安が悪くなることも大きな心配材料になっている。「医療崩壊の防止」と「治安悪化の防止」を要に政府が行動をとることが急務なのである。
ブラジル全土の感染防止強制措置こそが、唯一の解決策であり、ボランティアの精神を貫き、いまこそ、国際協調のもと、一致団結して、このコロナウィルス(Covid-19)撲滅運動を世界規模で行う必要があるのである。
経済が止まり、大混乱になるが、多くのコロナウィルスによる犠牲者を出すよりは
今の絶望を希望に変え、明日への生きる糧にする必要があると私は思う。
そして、何よりも医療現場の最前線で必死な攻防をされているイタリア、スペイン、ニューヨークを始め、各地域の人々への温かい視線を注ぐ必要があると私は思う。
このインペリアル・カレッジ・ロンドンの調査報告書「COVID-19の世界的な影響と緩和と抑制のための戦略」は世界保健機関(WHO)に関連のある50人の科学者が作成に関与したもので、同大学報告書サイトで入手できる。同報告書は感染防止措置の度合いに応じた4つのシナリオで世界各国の感染状況を予測している。同報告書は各国政府が診断テスト、患者の隔離、ウイルスの蔓延を防ぐための社会的距離確保など厳格な措置を早期に講じれば、死亡率は95%減少し、計3,860万人の命が救えると結論付けている。
安倍総理大臣とテドロス世界保健機関事務局長との電話会談 が
2020年3月30日午後6時頃から約45分間行われた。(厚生労働省サイトから抜粋)
テドロス・アダノム世界保健機関(WHO)事務局長
(Dr.Tedros Adhanom, Director-General, World Health Organization)
1 情報共有等緊密に連携、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進
安倍総理大臣:WHOと引き続き情報共有等緊密に連携していきたい。
テドロス事務局長:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進が役に立つ。
2 治療薬及びワクチンの開発
安倍総理大臣:「アビガン」の臨床試験を進める。重複を無くし,注力すべきエリアを示すことで開発を加速させるよう支援を要請。
テドロス事務局長:ワクチン開発についてはCEPIやGaviと連携していきたい。
3 国々への支援
安倍総理大臣:保健システムが脆弱な国々への支援として,WHOの新型コロナ戦略計画(SPRP)に50.6億円(約4600万ドル)を拠出。急速に感染者数が増加しつつある途上国における医療従事者等への技術支援などに有効に活用してほしい。
テドロス事務局長:今各国からの拠出と合わせ有効に活用する。
4 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会
安倍総理:1年程度延期し、遅くとも来年夏までに開催するとのバッハIOC会長との合意。人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として完全な形で開催する。
テドロス事務局長:WHOも大会の成功に向け一緒に準備に関わっていきたい。
5 国際連携や地理的空白
その他,新型コロナウイルス対策におけるG20等を通じた国際連携や地理的空白を生じさせないことの重要性についてもやりとりがありました。
6 尚,緊急事態宣言に関するやり取りは行われませんでした。
項目1~5に関しては、ごく普通であるが項目6に関しては、本来であるならば、優先順位の高いテーマだったのではないかと思う。つまり、緊急事態宣言は、
・出す必要のない状況にある日本。
・あえて触れなかったテーマ。
のどちらかになる。
Inperal College Londonから出されているリポートを読むと、どのように考えても
「出す必要のない状況」にあるとは思えない日本になる。となると後者の説が有用になるとなるわけである。
先ほど、ジェトロからビジネス短信が出された。一読されるとよいと思う。
Inperal College Londonからのリポートは次のリンクからアクセスができる。