2023年01月08日 日曜日 おせち
『おせち』は、『御節供(おせちく)』と書く。
歳神様をお迎えするお正月にお供えし、
そのおこぼれちょうだいということになるわけである。
新年の健康、繁栄を祈って歳神様にお供えするのがお正月。
実は、台所にあったかまどを休ませる意味もあったとか。
神様を迎えるのに、せわしく準備するより
ゆっくり、お迎えする方がいいですよね。
そういいながらも、
いつも家事が大変なので
正月くらいは、休んでくださいということだったのかもしれません。
小さなことかもしれませんが
相手をいたわる心があったのではないでしょうか。
さて、そのおせち料理には、
・祝い肴
・口取り
・焼き物
・酢の物
・煮しめ
この5種類があるのが一般的。細かく分けると21種類あるそうです。
・祝い肴
祝いの場の酒の肴として用意されるもの
黒豆:
『まめに働けるように』『元気で働けるように』『黒く日に焼けるまで朗らかに働く』
邪気を払う色の黒の甘く味付けられた黒豆。おいしいですよね。
数の子:
『子だくさん』『子孫繁栄』
ニシンの卵の塩漬けか乾燥させたもの。このニシンは『二親(ふたおや)』と語呂を合わせて、両親の健康や長寿も祈願されているのです。
田作り(ごまめ):
『豊作』
カタクチイワシの稚魚。昔、イワシは畑の肥料だったので、たんぼの豊作を祈願していたそうです。
たたきごぼう:
『家族や家業が地に根付いて繁栄するように』
千切りにしたごぼうを叩き、ゆでたたたきごぼうは関西で食べるようですが、土に根を張るごぼうから根付いてほしいとの願いをかけていたようです。
・口取り
酒の肴です。見た目が鮮やかで甘味の多い口取り。
かまぼこ:
赤い部分は、『慶び』『魔除け』
白い部分は、『神聖』『清浄』
半月の形のかまぼこは、初日の出を連想させるので、おせち料理にはうってつけの品。
伊達巻:
『学業成就』
卵で作られた柔らかく甘い伊達巻。カステラに似ていることからカステラかまぼこともいわれます。
栗きんとん:
『金運上昇』
私の大好きな甘い栗きんとん。山の幸の栗。『勝ち栗』とも呼ばれ、豊かさを表す食べ物。
色も黄金色ですから、金運が上昇するようにと願いが込められているそうです。
昆布巻き:
『不老長寿』『子孫繁栄』
『よろこぶ』とか『子生』と語呂合わせする昆布は縁起がいい食べ物ですね。
錦卵:
黄身の部分『金』
白身の部分『銀』
『金運上昇』
ゆで卵を黄身と白身に分けて裏ごしをしたものを蒸した鮮やかな色の料理。金と銀の二色の色なので、錦と語呂合わせなんです。
・焼き物
鯛(たい):
『めでたい』
焼いた切り身を入れて食べる鯛。恵比須様が持っている鯛。
赤い鯛は、めでたいので、祝い事によく使われるおさかなですね。
鰤(ぶり):
『立身出世』
成長すると名前の変わる鰤(ぶり)の別名が出世魚。照り焼きにして食べます。
海老:
『長寿』『めでたい』『生まれ変わり』
高価な海老は、美味しいですね。この海老は腰が曲がっているので、腰が曲がるまで長生きできる、っして脱皮を繰り返す海老なので、生まれ変わりを意味して、目が出ているので、めでたいという風に、なんとも、祝い事には欠かせない食べ物なのです。
蛤(はまぐり):
『良縁』
貝同士がぴったりになっているので、良縁を表しているそうです。
・酢の物
紅白なます:
『根を張るように』
人参と大根でつくる紅白なます。根菜類なので、根を張るようにと願いが込められています。見栄えは紅白になるので、水引き(みずひき)を連想させますね。
酢れんこん:
『見通しの良い未来』
さっぱりした味の酢れんこん。本当に見通しが良い未来が見えるといいですね。
菊花かぶ:
『めでたい』『繁栄』『健康』
菊の形に切ったかぶを甘酢に漬けた料理はおいしいです。お祝事に使われる菊の花を連想させながら、祈願をしていたようです。
・煮しめ
筑前煮:
『家族円満』
れんこん、にんじんなどの根菜と鶏肉を煮込んだ料理。一つの鍋でいろんな具材を煮込むので、家族が仲良く暮らせますようにと願いを込めた料理だそうです。
手綱(たづな)こんにゃく:
手綱(たづな)を締める『心を引き締める』
結び目『良縁』『夫婦円満』
左右の端を中央にねじってつくる手綱こんにゃくの煮物は格別ですね。
くわい:
突き出た目『めでたい』
角形に切ると亀の形に似ているので『長寿』
くわいの芽が空に向かって伸びるので『立身出世』
里芋:
種芋からたくさんの子芋がでることから『子孫繁栄』
丸い形『家族円満』
煮しめにかかせない里芋です。
たけのこ:
天に向かって早く伸びるたけのこなので『立身出世』
すくすく成長するたけのこなので『幸運を伸ばす』
土佐煮として作られるのが一般的なたけのこ。
おせち料理を重箱につめるとき
じつは、どこになにをいれるか決まってるんです。
・一の重には、祝い肴を入れます。
数の子、黒豆、田作り、たたきごぼう…
・ニの重には、口取り、酢の物を入れます。
伊達巻き、栗きんとん、かまごこ、酢れんこん、紅白なます…
・三の重には、焼き物を入れます。
海老、鯛(たい)、鰤(ぶり)…
・与の重には、煮しめを入れます。
筑前煮、お煮しめ…
・五の重は、空(から)にしておきます。
それは、神様からの福をつめるためです。
結構、おせちって奥が深いのです。